夜勤1回2,400円と、辞めどきの決め方

夜勤を1回こなして増える深夜割増は、時給1,600円の人でおよそ2,400円です。 その2,400円と引き換えに体が何を前借りしているのか、答えを持っている人はいません。
夜勤を1回こなして増える深夜割増は、時給1,600円の人でおよそ2,400円です。
その2,400円と引き換えに体が何を前借りしているのか、答えを持っている人はいません。
2,400円の中身
深夜の割増は25%。22時から翌5時までの1時間ごとに付きます。
時給1,600円なら、1,600円 × 0.25 = 400円。これが深夜帯の1時間あたりに上乗せされる分です。
ここで気をつけるところがあります。22時から5時までは7時間ありますが、2交替の夜勤には途中に休憩が入るので、深夜帯の実働が7時間まるごとになることはあまりありません。休憩を除くと6時間程度のことが多い。6時間で計算すると、400円 × 6時間 = 2,400円。これが夜勤1回ぶんの深夜割増です。
月に10回入るなら 2,400円 × 10 = 24,000円。1年で約29万円になります。
自分の時給に置き換えるのは、掛け算だけです。時給1,400円なら350円、6時間で2,100円。愛知県の最低賃金である1,140円なら285円、6時間で1,710円。深夜帯に何時間入っているかは、自分のシフトの休憩の位置で数えるしかありません。休憩が22時をまたぐのか、深夜帯の真ん中に来るのかで、1回あたり数百円変わります。
時間外が深夜に重なると、25%と25%が足し算になります。1,600円 × 1.5 = 2,400円。深夜の残業1時間はこの単価です。ここだけは大きい。
国のほうは、夜勤を「負荷」として数えています
あまり知られていない決まりが二つあります。
ひとつ。深夜業を含む業務に常時従事する人の健康診断は、6か月以内ごとに1回。つまり年2回です。昼勤だけなら年1回。同じ会社の中で、夜勤に入る人だけ倍の頻度と決められています。
もうひとつ。脳や心臓の病気を労災と認めるかどうかの基準では、労働時間の長さとは別に、不規則な勤務、交替制勤務、深夜勤務、勤務と勤務の間隔の短さが、体への負荷として評価されることになっています。
求人票には「未経験歓迎」「交替手当あり」と書いてあります。まったく同じ働き方が、別の役所の書類では負荷として並んでいる。どちらも本当のことです。
「何年もつか」に答えを持っている人はいません
ここは正直に書きます。何年でどうなるかの数字は、人によって違いすぎて出せません。20代のうちは平気だった、という話が出てくるのは、たいてい30代半ばを過ぎた人からで、それも本人ひとりの話でしかありません。
二十代の人から、夜勤は何年くらいでキツくなるのかと聞かれる場面があります。正確に答えられる人はいません。他人の体験は、その人の答えになりません。
代わりに書けるのは、手元に数字を残す方法のほうです。
年2回の健診を、自分の記録として使う
年2回もらうということは、去年と今年の同じ項目が並ぶということです。深夜業を含む人の健診で見る項目は、だいたい決まっています。
- 身長、体重、腹囲、視力、聴力
- 血圧
- 血中脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
- 血糖(空腹時血糖、HbA1c)
- 肝機能(AST、ALT、γ-GT)
- 尿検査(糖、蛋白)
- 心電図
- 胸部エックス線(これだけは1年以内ごとに1回でよく、年2回そろうとは限りません)
このうち、夜勤を続けている人が並べて見る意味があるのは、体重と腹囲、血圧、中性脂肪、HbA1c、γ-GTのあたりです。1回だけ見ても何も分かりませんが、3年ぶん並ぶと傾きが見えます。上がっているのか、横ばいなのか。それは自分にしか分かりません。
結果は本人に通知される決まりです。会社は健康診断個人票を作って5年間保存します。自分の手元に残すなら、届いた紙をスマホで撮って、日付を付けて1か所に入れておくだけで足ります。会社が変わっても、この写真だけは残ります。
決まりがもう二つあります。
深夜業に常時従事していて、過去6か月を平均して1か月あたり4回以上夜勤に入っている人は、会社の健診とは別に、自分で受けた健康診断の結果を会社に提出することができます。気になることがあって自分で受けたときに、その結果を会社側の記録に載せられる、という道が用意されています。
それから、健診で血圧・血中脂質・血糖・腹囲(またはBMI)の4項目すべてに異常の所見があると診断された場合、労災保険から二次健康診断と特定保健指導を受けられます。費用の自己負担はありません。これは会社の制度ではなく、労災保険の給付のひとつです。4つ全部そろったとき、という条件が付いているので、健診結果が返ってきたら、その4か所だけは見ておく値打ちがあります。
辞めどきは、体より先に日付で来ます
体の限界がいつ来るかは分かりません。でも、今日カレンダーの上で数えられるものが三つあります。
派遣の期間制限。同じ組織単位で働ける上限が3年、事業所単位でも3年です。ただし事業所単位のほうは、派遣先が過半数労働組合などに意見を聴く手続きを踏めば延長できます。だから「必ず3年で終わる日付」ではありません。自分の日付として数えられるのは、個人単位の3年のほうです。
無期転換。同じ会社で有期契約が通算5年を超えたら、申し込めば会社は断れません。ここで言う同じ会社は派遣元のことで、派遣先が変わっても通算は続きます。ただし無期になることと正社員になることは別の話で、そこは混ざりやすいところです。
有給。勤続6か月で、その6か月の出勤率が8割以上なら10日。以降も、それぞれ直前の1年の出勤率が8割以上であることが条件で、1年6か月11日、2年6か月12日、3年6か月14日、4年6か月16日、5年6か月18日、6年6か月以降は年20日です。時効は2年なので、限界が来てから一気に使うことはできません。年5日は会社に取らせる義務があります。会社にあるのは時季を変えてもらう権利であって、断る権利ではありません。
この三つは今日わかります。辞めどきを漠然と考えるより、その日付の前なのか後なのかで考えるほうが、少なくとも計算になります。
求人票が書かない二つ
交替手当と深夜割増は別物です。深夜割増は法律で決まった25%。交替手当は会社が決める手当で、法律の下限はありません。「交替手当あり」としか書いていない求人は、月1万円のこともあれば2,000円のこともあります。
そして、どの求人票も回数を書きません。月に夜勤が何回組まれるのか、連続何日なのか、明けの翌日は休みなのか。同じ「2交替・交替手当あり」でも、中身はまったく別の勤務になります。
b-staff.jp/guide/kotai-teate →
夜勤明けの駐車場で、車に乗ったまましばらく動かない人を、たぶん誰でも一度は見ています。豊田の朝は、そこから通勤の車の列に入っていくことになります。眠気は根性の問題として片づけられがちですが、勤務と勤務の間隔が短いことは、さっきの労災の基準では負荷として数えられている項目のひとつです。
労災の手続きは、こちらに書きました。
話を聞いてもらえるところ
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省・無料)0120-811-610。平日17:00-22:00、土日祝9:00-21:00。夜勤明けでも勤務前でも、かかる時間帯にやっています。
豊田労働基準監督署 0565-35-2323。平日8:30-17:15。健康診断や勤務時間の決まりについてはこちらです。
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)/0565-34-0707 平日10:00〜17:00、LINEは24時間受付です。
夜勤明けにこれを読んでいる人へ。調べ物なしで答えられることをひとつだけ。
家に着いて、最初にやることは何ですか。寝るのか、食べるのか、風呂なのか、それとも何もできずに座っている時間がありますか。
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