この記事の要点
- 3年ルールは「事業所単位」と「個人単位」の2つあり、先に来たほうが期限になる
- 個人単位の3年は延長できないが、課が変われば新しく3年を数え直せる
- 同じ課で3年になる見込みの人には、派遣会社が雇用安定措置をとる義務がある
派遣で働いていると「3年で終わり」という話を聞きます。この「3年」には、2つの種類があります。
1つは、あなたが働いている会社を主語にした3年です。もう1つは、あなた自身を主語にした3年です。名前が似ているので、混ざると期限が読めなくなります。
この記事では2つを分けて説明します。根拠は労働者派遣法です。内容は2026年8月現在のものです。
3年ルールは2つあります
法律の名前でいうと、次の2つです。
- 事業所単位の期間制限(労働者派遣法40条の2)
- 個人単位の期間制限(同法35条の3、40条の3)
事業所単位は、派遣先の事業所が派遣を受け入れられる期間の上限です。個人単位は、あなたが同じ「課」で働ける期間の上限です。どちらも上限は3年です。
この2つは同時に進みます。片方だけ見ていると期限を読み違えます。
「事業所単位」の3年は、会社の側の期限です
派遣先の事業所が派遣を受け入れ始めた日から数えます。3年を超えて受け入れることは、原則としてできません。
この3年は、派遣会社が変わっても、働く人が変わっても通算されます。あなたが入る前から別の派遣社員がいたなら、その分もすでに数えられています。
そのため、入った時点で残りが1年しかない、ということが起こります。派遣先は契約のときに、この期限の日を派遣会社に通知する義務があります(法26条4項)。この日を抵触日と呼びます。抵触日は就業条件明示書にも書かれます(法34条)。分からないときは派遣会社に聞けます。
意見聴取をすれば3年まで延ばせます
事業所単位の3年は延長できます。派遣先が、その事業所の過半数労働組合から意見を聴く手続きをとります。労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する人から聴きます。
手続きは抵触日の1か月前の日までに行います。延長は1回につき3年までで、同じ手続きで繰り返せます。反対意見が出たときは、派遣先は延長の理由を説明しなければなりません。
「個人単位」の3年は、あなたと「課」の期限です
こちらはあなたを主語に数えます。同じ事業所の同じ組織単位で、3年を超えて働くことはできません。
組織単位とは、いわゆる「課」を想定したものです。厚生労働省の業務取扱要領では、業務としての類似性や関連性がある組織を指します。その長が業務の配分や労務管理上の指揮監督の権限を持つことも条件です。看板の名前ではなく、実態で判断します。
個人単位の3年は延長できません。ただし、課が変われば新しく3年を数え直します。事業所単位の期間が延長されていることが前提です。
2つの期限は、先に来たほうが効きます
| 事業所単位 | 個人単位 | |
|---|---|---|
| 数える対象 | 派遣先の事業所そのもの | あなたと同じ課 |
| 上限 | 3年 | 3年 |
| 起点 | その事業所で派遣の受け入れが始まった日 | あなたがその課で働き始めた日 |
| 人が変わったら | 通算する | 別の人なら数え直す |
| 延長 | 意見聴取をすれば3年まで延長できる | 延長できない |
事業所単位の期限が先に来る場合、あなたの個人単位が3年に届いていなくても、そこで派遣は終わります。
自分の抵触日は2つあります。就業条件明示書で両方を確かめてください。
3年で派遣が終わるとき、派遣会社には義務があります
同じ課への派遣が3年になる見込みで、本人が働き続けることを希望している場合。このとき派遣会社は、次の4つのどれかをとらなければなりません。労働者派遣法30条の雇用安定措置です。
- 1派遣先に、直接雇用してくれるよう頼む
- 2新しい派遣先を紹介する(能力や経験に照らして合理的な条件のもの)
- 3派遣会社が、派遣以外の働き方で無期雇用する
- 4その他の措置(紹介予定派遣の対象にするなど)
1をとって直接雇用に結びつかなかったときは、別に2から4のどれかをとる必要があります。派遣見込みが1年以上3年未満の人については、義務ではなく努力義務になります。
この措置を受けるには、派遣の後も働き続けたいと派遣会社に伝えておく必要があります。4つのうちどれを希望するかも伝えられます。
厚生労働省の令和6年度の集計(速報値)では、3年見込みの対象者は92,809人でした。措置の内訳は次のとおりです。
| 措置 | 3年見込みの人に講じた人数 |
|---|---|
| ①派遣先への直接雇用の依頼 | 21,495人(うち派遣先で雇用 9,174人) |
| ②新たな派遣先の提供 | 48,451人 |
| ③派遣元での無期雇用 | 7,183人 |
| ④その他の措置 | 9,822人 |
1人が複数の措置を受ける場合があるため、合計は対象者数と一致しません。
3年ルールが当てはまらない人もいます
次の場合は、期間制限の対象外です。
- 派遣会社と無期雇用契約を結んでいる人
- 60歳以上の人
- 終わりの時期が決まっている有期プロジェクト業務に派遣される場合
- 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下で、かつ10日以下)
- 産前産後休業、育児休業、介護休業などをとる人の代わりに働く場合
派遣会社で無期雇用されている人と60歳以上の人は、雇用安定措置の対象からも外れます。
派遣先の会社にも決まりがあります
派遣先にも義務があります。3つ挙げます。
- 同じ課の同じ業務に、有期雇用のあなたを1年以上受け入れ、その後も同じ業務に人を雇い入れようとするとき。派遣先はあなたを雇い入れるよう努める義務があります(法40条の4)。働き続けたい希望を伝えていることが条件です。
- 同じ事業所で1年以上あなたを受け入れているとき。派遣先が正社員を募集するなら、その内容をあなたにも知らせる義務があります(法40条の5)。同じ課で3年になる見込みの人には、正社員以外の募集も知らせます。
- 期間制限に違反して受け入れた場合、派遣先が直接雇用を申し込んだものとみなされます(法40条の6)。労働契約申込みみなし制度といいます。派遣先が違法と知らず、知らなかったことに過失もなかったときは除かれます。この申込みは、違法な派遣が終わった日から1年を経過する日まで有効です。契約が成立するには、あなたが承諾する必要があります。
よくある質問
3年たったら無期雇用に切り替わるのですか。
自動では切り替わりません。無期に切り替わる仕組みは別の法律にあります。労働契約法18条の無期転換ルールです。同じ会社との有期契約が通算5年を超えた場合、本人が申し込めば無期契約になります。派遣で働く人にとって、この「同じ会社」は雇い主である派遣会社です。派遣法の3年と労働契約法の5年は、数える相手も年数も違います。
同じ会社の別の課に移れば、また3年働けますか。
働けます。個人単位の3年は課ごとに数えるためです。ただし事業所単位の期間が延長されていることが前提になります。移れるかどうかは派遣先と派遣会社の判断です。自分で異動先を指名することはできません。希望は早めに伝えておくと検討の材料になります。
3年たつと仕事を失うのですか。
そうとは限りません。令和6年度の集計では、3年見込みの人92,809人のうち48,451人が新しい派遣先の提供を受けています。結果は人によって違います。就業を続けたい意思を派遣会社に伝えることが出発点です。
相談できるところ
派遣のルールが守られていないと感じたとき、相談できる公的な窓口があります。相談は無料です。
- 愛知労働局 需給調整事業第二課(派遣事業の指導監督)電話 052-685-2555
- 豊田総合労働相談コーナー(豊田労働基準監督署内・豊田市常盤町3-25-2)電話 0565-30-7108。受付は平日9時30分から17時まで
- ハローワーク豊田(豊田市常盤町3-25-7)電話 0565-31-1400
- 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省委託・フリーダイヤル)0120-811-610。受付は月曜から金曜が17時から22時、土日祝が9時から21時
個別の契約についての判断は、事情によって結論が変わります。契約書と就業条件明示書を持って、上の窓口で確認してください。
この記事は2026-08-20時点の法令にもとづいています。制度は変わります。 個別の事情については、記事内に挙げた公的な相談窓口にお問い合わせください。
