離職票の「離職理由」の欄ひとつで、45万円が変わる

離職票の「離職理由」の欄。この一か所で、受け取る額が45万円変わることがあります。 35歳・勤続7年の同じ一人でも、この欄がどう書かれるかで、7日で支給が始まるか、そこからさらに1か月待つかが分かれます。
離職票の「離職理由」の欄。この一か所で、受け取る額が45万円変わることがあります。
35歳・勤続7年の同じ一人でも、この欄がどう書かれるかで、7日で支給が始まるか、そこからさらに1か月待つかが分かれます。
その45万円が、どこから出てくるかから書きます。
45万円の中身
35歳、同じ派遣元で7年。更新を重ねてきて、今回の契約満了で更新されなかった。この条件で並べます。
(派遣には同じ組織単位で3年までという制限がありますが、雇用契約を結んでいる相手は派遣元です。派遣先が変わっても派遣元との契約は続き、勤続年数はそこでリセットされません。同じ派遣元で7年、というのは珍しい形ではありません。)
失業給付は「1日いくら」を「何日分」で受け取るお金です。
まず1日いくらのほう。辞める直前6か月の賃金の合計(賞与は入りません)を180で割ると、賃金日額が出ます。月25万円なら、25万×6=150万。150万÷180=8,333円。基本手当はこの5〜8割で、賃金が低い人ほど割合が高くなります。6割として、8,333×0.6=約5,000円。上限と下限は毎年8月に変わるので、正確な額はハローワークの計算になります。
次に何日分のほう。ハローワークの書類では所定給付日数と呼ばれる数字で、ここが割れます。
- 自己都合として処理された場合……被保険者期間10年未満で90日
- 会社都合と同じ扱いになった場合……35歳以上45歳未満・被保険者期間5年以上10年未満で180日
90日と180日。差は90日。
5,000円×90日=450,000円。
自分の月給で置き換えられます。月30万円なら賃金日額は約1万円、その6割で6,000円、90日で54万円。月20万円なら賃金日額6,666円、割合は上がるので7割として4,600円、90日で41万円あたり。
「自己都合」と書かれると、もうひとつ起きること
自己都合で辞めた扱いになると、7日の待期のあとに給付制限がつきます。2025年4月から原則1か月です(それまでは2か月でした)。会社都合の人や、契約満了で更新されなかった人には、この1か月がありません。7日が明ければ支給の対象になります。
そして給付を受けられる期間は、離職日の翌日から1年と決まっています。後ろには延びません。手続きが遅れた分は、そのまま消えることがあります。
契約満了が、そのまま自己都合になるとはかぎりません
取り違えられやすいのがここです。
- 更新を重ねて3年以上働いた後、更新されなかった → 会社都合と同じ扱い(特定受給資格者)
- 3年未満でも、更新を希望していたのに更新されなかった → 特定理由離職者。給付制限はつきません
- はじめから更新なしと契約書に書かれていて、本人も更新を希望していなかった → 上の二つとは扱いが変わります
分かれ目のひとつは、更新を希望していたかどうかです。会社が出した書類に自己都合と書いてあっても、それで決まりではありません。決めるのはハローワークです。
ひとつ断っておくと、8月22日に書いた「30日前の予告が要るかどうか」は労働基準法と厚生労働省の基準の話で、こちらは雇用保険の話です。同じ「更新されなかった」でも、見ている決まりが別で、線の引き方も別です。予告の対象だったから雇用保険でもこうなる、とはなりません。
異議は、その紙の上に欄がある
離職票-2の下のほうに、離職者本人が書く欄があります。事業主が丸を付けた離職理由について、異議が有るか無いかを選ぶところです。異議ありを選んで、自分の言い分を書くことができます。
そのとき効くのは、手元に残っている紙や画面です。
- 雇用契約書(更新の有無、更新の判断基準、更新上限の書かれ方)
- 更新のたびに受け取った契約書
- 更新の話をしたときのメールやLINEの画面
- シフト表、勤務表
残っていれば、それが根拠になります。残っていなくても、窓口で事情を話すことはできます。
そもそも離職票が来ない
ロッカーの前でこの話になると、届いた封筒を開けないまま引き出しに入れたままにしている、ということが起きます。逆に、前の会社から何も届かない、という話も同じくらい出てきます。どちらもよくある止まり方です。
会社は、辞めた人の資格喪失届を、退職日の翌日から10日以内にハローワークへ出す決まりです。そこから離職票が本人に届くまで、だいたい10日から2週間。
2週間を過ぎても届かないときは、ハローワークに連絡すれば、ハローワークから会社に問い合わせてもらえます。会社と直接やり合わなくても進みます。離職票がまだ手元になくても、仮の手続きができる場合もあります。
年金と健康保険の切り替えには、期限があります
会社を辞めると、厚生年金と健康保険からは外れます。次が決まっていない期間は、自分で切り替える手続きが要ります。ここは離職票を待っていると間に合わないことがあるので、日数を書いておきます。
国民年金は、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口で第1号への切り替えです。豊田市なら市役所の窓口です。
払うのが難しいときは、免除や納付猶予の申請があります。失業を理由にした特例があって、離職票か雇用保険受給資格者証を持っていくと、前の年の本人の所得を除いて審査してもらえる仕組みです。未納のまま放っておくのと、免除の手続きをしておくのとでは、あとで受け取る年金の扱いも、万一のときの障害年金の扱いも変わります。記録そのものの相談は豊田年金事務所です。
健康保険は、国民健康保険に入るか、前の会社の健康保険を任意継続するかの二択です。任意継続には、退職日の翌日から20日以内という期限があります。日数が短いので、離職票を待っているうちに過ぎることがあります。
国民健康保険のほうには軽減があります。会社都合や契約満了で辞めた人(離職時65歳未満)は、前の年の給与所得を100分の30として保険料を計算し直す決まりです。前年の給与所得が200万円なら、60万円として計算される。離職日の翌日から翌年度末まで続きます。保険料の額は市によって違うので、ここには書きません。
離職理由の欄は、失業給付だけでなく、この軽減が使えるかどうかにも効いてきます。
辞めるときに受け取れる紙
失業給付に使うもの
- 離職票-1
- 離職票-2
- 雇用保険被保険者証(会社が預かっていることがあります)
税金と保険に使うもの
- 源泉徴収票……退職後1か月以内に交付する決まりです(所得税法)
- 健康保険の資格喪失証明書……国民健康保険に入るときに要ります
- 年金手帳、基礎年金番号通知書(会社が預かっている場合)
言えば出るもの
- 退職証明書……請求されたら会社は遅れずに交付しなければならない、と労働基準法22条にあります。書けるのは、使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由のうち、本人が請求した事項だけ。請求していないことを書いてはいけない決まりです。
話を聞いてもらえるところ
ハローワーク豊田 0565-31-1400(平日8:30-17:15)。離職票のこと、離職理由のことはここです。ポルトガル語の通訳は平日8:30-12:00と13:00-17:15。
豊田年金事務所。国民年金への切り替え、保険料の免除や納付猶予の相談はこちらです。
豊田労働基準監督署 0565-35-2323(平日8:30-17:15)。源泉徴収票や退職証明書が出てこない、という話はこちらです。
細かいところは、ここにまとめてあります。
b-staff.jp/guide/taishoku-tetsuzuki →
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)/0565-34-0707 平日10:00〜17:00、LINEは24時間受付です。
封筒をまだ開けていない人が、この時間に読んでいることがあります。
前の会社を辞めたとき、離職票の「離職理由」の欄を、自分の目で見ましたか。見た、見ていない、それだけでも構いません。
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