「休業手当は6割」が日給の4割弱になる理由

日給12,000円の日が、会社の都合で休みになると、休業手当は4,695円になります。 6割もらえると聞いていたのに、日給の4割弱。働いた日数ではなく、暦の日数で割るからです。
日給12,000円の日が、会社の都合で休みになると、休業手当は4,695円になります。
6割もらえると聞いていたのに、日給の4割弱。働いた日数ではなく、暦の日数で割るからです。
「6割」は日給の6割ではありません
決まりはこうなっています。会社側の事情で休ませた日については、平均賃金の60%以上を支払う。労働基準法26条です。
引っかかるのは「平均賃金」という言葉です。日給のことではありません。
平均賃金 = 直近3か月の賃金総額 ÷ その3か月の暦の日数
割るのは、働いた日数ではなく、土日も祝日も含めた全部の日数。だから一段目の割り算で、数字はもう小さくなっています。この式そのものは8月22日に書いたので、ここでは数字だけ並べます。
時給1,500円・1日8時間で計算します
- 日給:1,500円 × 8時間 = 12,000円
- 月に20日の勤務、3か月で60日
- 賃金総額:12,000円 × 60日 = 720,000円
- 直近3か月(5月・6月・7月)の暦日数:31+30+31 = 92日
- 平均賃金:720,000円 ÷ 92日 = 約7,826円
ここで二段目です。7,826円 × 60% = 約4,695円。
働けば12,000円の日が、休業手当だと4,695円。日給の39%です。1日あたり7,300円ほど減ります。5日削られれば36,500円ほど。
自分の数字に置き換えるなら、時給 × 1日の実働時間 × 0.4 を少し下回るあたり。それが休んだ1日分のおおよその額です。
シフトを削られている人ほど、この式は不利になります
暦日で割る式には弱点があります。もともと出勤日が少ないと、分子だけが小さくなって平均賃金が落ちます。
同じ時給1,500円でも、すでに稼働調整で月13日しか出ていない場合。
- 3か月で39日、賃金総額 468,000円
- 468,000円 ÷ 92日 = 約5,086円
- その60% = 約3,052円
1日3,052円。休んでいる人ほど、休業手当まで下がってしまいます。
そのため、時給制・日給制・出来高制の人には最低保障が用意されています。
最低保障の平均賃金 = 賃金総額 ÷ 実際に働いた日数 × 60%
- 468,000円 ÷ 39日 = 12,000円
- 12,000円 × 60% = 7,200円
平均賃金は、暦日で割った額(5,086円)と最低保障(7,200円)の、高いほうを使います。だから7,200円。休業手当はその60%で4,320円です。
最低保障が働くかどうかで、1日あたり1,268円違います。10日で12,680円。金額が3,000円台なのか4,300円台なのかで、どちらの式で計算されたかは見当がつきます。
「会社の責任」の範囲は、思っているより広い
休業手当が出るのは、会社側の事情による休業のときです。
ここでいう会社の責任は、会社が悪い、という意味だけではありません。経営上の障害、たとえば親会社や取引先の減産、資材や部品が入ってこない、機械の故障、注文が減った、といった事情も、原則としてこちらに含まれると整理されています。
外れるのは、地震や津波のような、会社の力ではどうにもならない場合です。
工場が動かないのだから仕方ない、で終わる話と、休業手当の対象になる話は、線の引き方が違います。
出ない「休み」もあります
同じ休みでも、次のものは休業手当の話になりません。
- 自分の都合で休んだ日
- もともと勤務日ではない日(稼働日カレンダーで最初から休みになっている日)
- 年次有給休暇を自分で請求して取った日
翌月のカレンダーで稼働日そのものが減らされているのか、稼働日なのに休みを指示されているのか。ここが分かれ目です。前者なら、そもそも賃金の発生しない日として最初から組まれています。だから、シフト表を見るときは去年の同じ月と並べると、稼働日が何日減ったのかが分かります。豊田周辺は連休の入り方も工場ごとに違うので、去年の自分のカレンダーがいちばん確かな比べる相手になります。
1日まるごとでなくても対象になります
半日で帰された日も同じ考え方です。その日に実際に払われた賃金が平均賃金の60%に届かなければ、届くまでの差額を払う決まりになっています。
午前で終了、午後は休み。そういう日が続いているなら、その日も計算の対象です。
有給と混ざっていないか
休業手当と年次有給休暇は別のものです。年休は本人が請求して取るのが原則で、会社が休業日に勝手に充てて休業手当の代わりにする、という形は本来の姿ではありません(計画的付与には労使協定が必要です)。
有給のほうの決まりは、こちらにまとめてあります。
b-staff.jp/guide/yukyu-haken →
雇用調整助成金は、働く人が申請するものではありません
休業が続くと出てくる名前です。これは会社が国から受け取る助成金で、休業手当を払った会社が、その一部について助成を受ける仕組みです。働く人が自分で申請するものではありませんし、これを受けているかどうかで払われる休業手当の額が変わるわけでもありません。会社が申請していないから休業手当は出ない、という順番にはなりません。
派遣先の都合で、途中で終わったとき
雇用契約を結んでいる相手は派遣元です(この二重構造は8月23日に書きました)。派遣先が期間の途中で契約を解除しても、派遣元との雇用契約は、契約期間が残っているかぎりそのまま残ります。
決まりとしては、派遣先は新しい就業機会の確保に努め、それができないときは休業手当などの費用を負担する、とされています。派遣元は、まず別の派遣先を探し、それも見つからないなら休業手当を払う、という順番になります。
派遣先での仕事が終わった日から契約満了日までが、そのままゼロの空白になるとはかぎらない、ということです。
明細のどこに出るか
休業手当は賃金の扱いです。だから給与明細の支給欄に載り、所得税がかかり、社会保険料の計算にも入ります。労災の休業補償(こちらは非課税)とは別物です。
支給欄に、休業手当、休業補償、調整手当など、見慣れない名前で載っていることがあります。名前が違っても、いくら払われたかを平均賃金の60%と比べれば、足りているかどうかは自分で確かめられます。
翌月のシフト表が貼り出されて、稼働日の少なさに全員が黙る。豊田とみよしの工場では、珍しくない場面です。はじめて減産の月に当たった人から、休みの日は給料が出るのかと聞かれて、答えに詰まった人もいると思います。決まりを知らないのは、その人だけではありません。
話を聞いてもらえる窓口
- 豊田労働基準監督署 0565-35-2323 平日8:30-17:15。豊田市とみよし市はここです
- 刈谷労働基準監督署 刈谷市・安城市・知立市・高浜市・碧南市の工場で働いている人は、こちらの管轄です。岡崎市なら岡崎労働基準監督署です
- 総合労働相談コーナー(愛知労働局・無料)052-972-0266 平日9:30-17:00。匿名でも話を聞いてもらえます
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)/0565-34-0707 平日10:00〜17:00、LINEは24時間受付です。
翌月のシフト表を見たばかりの人が、この中にいます。
あなたの職場では、減産の休みは「休業」でしたか。それとも「有給を使って」でしたか。
- #豊田市
- #派遣
- #期間工
- #工場勤務
- #休業手当
- #愛知県
- #給与明細
- #2交替
この記事のことで聞きたいことがあれば、LINEでもFacebookのメッセンジャーでも構いません。


