この記事の要点
- 期間の定めのない雇用は、申し入れた日から2週間で終わります(民法627条1項)
- 有期契約は期間の途中で辞められないのが原則。やむを得ない事由があるときは例外です
- 有給は2年で時効。退職日を残日数のぶん後ろにずらすと使い切れます
「辞めよう」と決めてから実際に辞めるまでには、順番があります。順番を間違えると、もらえるはずのお金や休みを取り逃がします。
この記事は、退職を決めた日から最終出勤日までにやることを並べたものです。2026年8月現在の法律と制度で書いています。
先に結論です。まず就業規則を見る。次に有給の残日数を数える。それから退職を申し出る。 この順番が一番損をしません。
法律の原則は「2週間前」
期間の定めのない雇用、つまり正社員や無期のパートの場合です。民法627条1項は、当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申入れができると定めています。そして雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了します。
この2週間は暦の日数です。休日も数に入ります。
一方で、多くの会社は就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書いています。まずここを確認してください。引き継ぎの都合もあります。就業規則より早く辞めたい事情があるなら、動く前に労働相談の窓口で事情を話すほうが安全です。
契約社員や有期の人は別のルール
契約期間が決まっている働き方(有期雇用)は、期間の途中で辞められないのが原則です。例外が2つあります。
1つ目は民法628条です。やむを得ない事由があるときは、期間の途中でも直ちに契約を解除できます。これは有期契約すべてに当てはまります。ただし、その事由が当事者の一方の過失によって生じたときは、相手方に対して損害賠償の責任を負います。
2つ目は労働基準法附則137条です。契約期間が1年を超える有期契約なら、契約の初日から1年を経過した日以後は、会社に申し出ればいつでも退職できます。
ここに注意点があります。3か月契約、6か月契約、1年ちょうどの契約は「1年を超える」に当たりません。工場の期間契約はこの3つが多く、その場合は附則137条の対象外です。対象外なら、民法628条によるか、会社と話し合って合意で辞めることになります。
| 雇用の形 | 辞められるタイミング |
|---|---|
| 期間の定めがない | 申し入れた日から2週間で終了(民法627条1項) |
| 1年を超える有期契約 | 契約初日から1年経過後はいつでも(労基法附則137条) |
| 1年以内の有期契約 | 期間の途中はやむを得ない事由があるとき(民法628条)。ほかは会社との合意 |
有給休暇を数える
年次有給休暇は労働基準法39条の権利です。雇入れの日から6か月続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤すると10日もらえます。その後は1年ごとに増えます。
| 勤続 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
週の所定労働日数が少ない人は、別の日数になります。
出勤率を数えるとき、業務上のけがや病気で休んだ期間、育児休業、介護休業、産前産後の休業は、出勤したものとみなされます(労働基準法39条10項)。休んだ月があっても、あきらめずに数えてください。
有給は2年で時効です(労働基準法115条)。使わないまま2年たつと消えます。
有給が10日以上与えられる人には、会社側にも義務があります。基準日から1年以内に、5日は時季を定めて取らせなければなりません(労働基準法39条7項)。自分から取った日数は、この5日から差し引かれます。
退職日は、有給の残日数のぶん後ろにずらして決めてください。最終出勤日の翌日から有給を並べ、その最後の日を退職日にします。会社には時季変更権があります(39条5項ただし書)。ただしこれは「他の時季に与える」ための権利です。退職日より後の日に与えることはできません。
有給の残日数は、退職を申し出る前に給与明細か勤怠システムで確認してください。申し出た後だと話がこじれやすくなります。
会社から受け取る書類
離職票は失業給付の手続きに使います。会社は資格喪失届を、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に出す義務があります(雇用保険法施行規則7条1項)。届かないときは、住所地のハローワークに相談してください。
源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付されます(所得税法226条1項)。年内に再就職するなら次の会社に出します。
退職証明書は、請求すれば会社が遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法22条1項)。使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由のうち、自分が請求した項目だけが書かれます(同条3項)。
このほか雇用保険被保険者証を受け取ります。年金手帳や基礎年金番号通知書を会社が預かっている場合は、それも返してもらってください。健康保険証(資格確認書)、社員証、制服、鍵は返します。
最後の給料と住民税
労働基準法23条1項の定めです。退職者から請求があったときは、会社は7日以内に賃金を支払わなければなりません。積立金など労働者の権利に属する金品も返還します。
住民税には注意してください。1月1日から4月30日の間に辞めた場合です。5月分までの住民税が、5月31日までに支払われる給与や退職手当からまとめて引かれます(地方税法321条の5第2項)。手取りが大きく減ります。この時期に辞めるなら、先に金額を計算しておいてください。
健康保険と年金を切り替える
健康保険には3つの選択肢があります。
- 任意継続 — 会社の健康保険を続けます。資格を喪失した日から20日以内の申出が必要です(健康保険法37条1項)。続けられるのは2年間です(同38条1号)。会社の負担分がなくなるため、保険料は給与から引かれていた額より高くなります。
- 国民健康保険 — 市町村に届け出ます。職場の健康保険を抜けて資格を取得したときは、世帯主が14日以内に届け出ます(国民健康保険法施行規則3条)。
- 家族の被扶養者になる — 収入などの要件があります。
年金は国民年金の第1号被保険者に切り替えます。保険料を払うのが難しいときは、免除・納付猶予を申請してください。失業したときの特例があります。離職票や雇用保険受給資格者証のコピーを添えて申請すると、失業した本人の前年所得にかかわらず審査されます。申請先は市町村の国民年金の窓口か年金事務所です。郵送でも出せます。
よくある質問
就業規則の「1か月前」を守らないとどうなりますか
まずは就業規則の期間で調整するのが穏当です。民法627条1項は2週間としていますが、就業規則の定めとの関係は事案によって判断が分かれます。どうしても早く辞める必要があるなら、豊田総合労働相談コーナーに事情を話してください。相談は無料です。
「辞めさせない」と言われました
期間の定めのない雇用なら、退職の申入れは会社の承諾がなくても2週間で効力を生じます(民法627条1項)。退職届は日付の入った控えを手元に残してください。内容証明郵便で送る方法もあります。強い引き止めや暴言が続くなら、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談してください。
有給を全部使わせてもらえません
会社の時季変更権は、他の時季に与えることが前提の権利です(労働基準法39条5項ただし書)。退職日より後にずらすことはできません。話が進まないときは、有給の残日数がわかる書類を持って労働相談の窓口へ行ってください。
相談できるところ
- 豊田総合労働相談コーナー(豊田労働基準監督署内)豊田市常盤町3-25-2。電話 0565-30-7108。受付は9時30分から17時、土日祝と年末年始は休みです。予約不要、相談無料です。
- 豊田労働基準監督署 監督部門(労働条件の相談)電話 0565-35-2323。利用時間は8時30分から17時15分。管轄は豊田市とみよし市です。
- 労働条件相談ほっとライン 0120-811-610。月曜から金曜は17時から22時、土日祝は9時から21時です(12月29日から1月3日を除く)。
- ハローワーク豊田 豊田市常盤町3-25-7 電話 0565-31-1400
- 豊田市役所 国保年金課 国民健康保険 0565-34-6637/国民年金 0565-34-6638
- 豊田年金事務所 豊田市神明町3-33-2 電話 0565-33-1123。国民年金の一般的な相談はねんきん加入者ダイヤル 0570-003-004
税金の扱いや個別の契約の解釈は、税務署や弁護士など専門の窓口で確認してください。
この記事は2026-08-20時点の法令にもとづいています。制度は変わります。 個別の事情については、記事内に挙げた公的な相談窓口にお問い合わせください。
