満了金30万円、手元に残るのは23万円台。そして翌年6月から始まるもう一回の引き算

満了金30万円。社会保険料と所得税を引くと、手元に残るのはおよそ23万円台です。 そして翌年の6月から、毎月の給料のほうが2,500円ずつ減っていきます。
満了金30万円。社会保険料と所得税を引くと、手元に残るのはおよそ23万円台です。
そして翌年の6月から、毎月の給料のほうが2,500円ずつ減っていきます。
満了金も入社祝い金も、額面の数字だけが一人歩きします。求人票に出ているのも、休憩室で飛び交うのも、30万円、50万円という大きいほうの数字です。でも通帳に入るのはその数字ではありませんし、話はもらった時点では終わりません。
30万円から、何がいくら引かれるか
満了金や祝い金は、多くの場合は賞与と同じ計算をします。毎月の給料と同じように社会保険料が引かれ、所得税が引かれます。
30万円で並べてみます。
厚生年金保険料は本人負担が9.15%です。
300,000 × 0.0915 = 27,450円
健康保険料は本人負担がおおむね5%前後(都道府県や加入している健保で違います)。
300,000 × 0.05 = 15,000円
ここに、40歳以上の人は介護保険料が上乗せされます。本人負担でおよそ0.8%前後。
300,000 × 0.008 = 2,400円
40歳の誕生日の前日が属する月から引かれはじめます。去年までは空だった「介護保険料」の欄に、今年から数字が入っている。心当たりのある人は、これです。65歳になると給料からの天引きではなくなり、年金からの徴収や市への納付に変わります。
雇用保険料は本人負担がおおむね0.5〜0.6%。
300,000 × 0.0055 = 1,650円
所得税は少し変わった決まり方をします。賞与にかかる税率は、その月の金額ではなく「前月の給料」と扶養している人の数で決まる仕組みです。仮に6%とすると、
300,000 × 0.06 = 18,000円
引かれる合計は、39歳までなら
27,450 + 15,000 + 1,650 + 18,000 = 62,100円
手取りは 300,000 - 62,100 = 237,900円。額面の79%です。
40歳以上なら、介護保険料の2,400円が加わって64,500円。手取りは235,500円で、額面の78.5%になります。
所得税の率は、前月の給料と扶養している人の数で動きます。2%なら24万円台、10%なら22万円台。23万円台に収まるのは、およそ4.5%から8%のあたりです。明細の数字が23万円台でなくても、計算が違うわけではありません。
自分の会社の満了金の額に、39歳までなら0.79、40歳以上なら0.785を掛ければ、だいたいの着地は出ます。50万円なら約39万5千円と約39万2千円。10万円の祝い金なら約7万9千円と約7万8千円。率は年度や健保で動くので、正確なのは明細に載っている数字のほうです。
翌年6月から始まる、もう一回の引き算
ここからが本題です。
住民税は、その年の所得ではなく前の年の所得で決まります。1月から12月までの収入で計算して、請求が来るのは翌年の6月から。給料天引きなら、翌年6月から翌々年5月までの12回に分けて引かれていきます。
住民税の所得割は、市民税6%と県民税4%を足して10%です。豊田市でも、みよし市でも、刈谷市でも、この10%は同じです。市によって違うのは均等割の額や減免の細かいところで、所得割の率は変わりません。満了金で30万円増えると、
300,000 × 0.10 = 30,000円
30,000 ÷ 12 = 2,500円
翌年の6月から、毎月2,500円ずつ多く引かれることになります。厳密には社会保険料を引いた後の金額にかかるので、実際はもう少し小さくなります。それでも、残業を増やしたわけでも減らしたわけでもないのに手取りが減ったように見える月が、まる1年続きます。
満了金60万円の年なら、翌年は月5,000円です。
もう一つあります。翌年に会社を辞めていて、次がまだ決まっていない場合。天引きができないので、自宅に納付書が届きます。年4回払いです。収入が止まっている時期に、去年の満了金にかかった分の紙が来る。順番が逆に感じますが、そういう仕組みになっています。
額面より、条件のほうが効く
満了金には条件が付きます。よくあるのが出勤率です。
3か月の契約で、勤務日が60日あるとします。出勤率9割以上が条件なら、必要な出勤日数は
60 × 0.9 = 54日
6日休むと54日でぎりぎり届きますが、7日休むと53日で届きません。
このとき、1日休むことの重みが日給ではなくなります。日給1万円の人が1日休めば、普通は1万円の話です。でも満了金30万円が出勤率で消える契約なら、その1日が30万円を動かすことがある。額面がいくらかより、ここのほうが効きます。
有給を使った日を出勤扱いにするかどうかは、会社の決まりによって違います。法律には、年次有給休暇を取ったことを理由に不利益な取り扱いをしないように、という定めがあります(労働基準法附則136条)。ただしこれは努力義務、つまり「そうするように努めなさい」という位置づけで、実際にどう計算されるかは、支給の要件がどう書かれているかで決まっています。
在籍日と、分割という設計
もう一つ多いのが、支給日に在籍していること、という条件です。
3月末で契約が満了して、支給日が4月25日だとします。3月31日付で退職すると、支給日には在籍していません。1か月の差ではなく、全額の差になることがあります。
分割も同じです。満了金60万円が20万円ずつ3回。2回目は次の契約が始まって3か月後、3回目はさらに3か月後。この形だと、辞める時期を自分ではなく残りの支給日が決めてしまいます。合わないと思った職場に、あと4か月だけ、と残ることになる。
昼の食堂でこの話になるとき、出てくるのはたいてい額面の数字です。いつ、どういう条件で、何回に分けて出るのかまで話す人はあまりいません。はじめての満了金を待っている人に、あれはいつ入るのかと聞かれて、はっきり答えられなかった経験のある人は、けっこう多いはずです。
効いてくるのは、この3か所
契約書か就業規則の、支給要件が書いてある部分です。
一つ、出勤率の条件と、有給を使った日の扱い。
二つ、支給日と、その日に在籍している必要があるかどうか。
三つ、一括か分割か。分割なら2回目以降の支給日。
この3つが分かれば、満了金がいつ、いくら、どういうときに消えるのかまで計算できます。額面を聞いて回るより早いです。
手取りの計算をもう少し細かく見たい方はこちら。
b-staff.jp/guide/haken-tedori →
有給と出勤率の関係はこちらです。
b-staff.jp/guide/yukyu-haken →
話を聞いてもらえるところ
支給条件がはっきりしない、聞いても答えが返ってこないというときは、総合労働相談コーナー(愛知労働局・無料)052-972-0266。平日9:30〜17:00、匿名でも大丈夫です。
厚生年金と健康保険の記録、いくら引かれてきたかの確認は、豊田年金事務所です。自分の記録は「ねんきんネット」でも見られます。毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」の封筒も、同じ記録から作られています。
住民税の額そのものについては、豊田市役所の市民税課です。6月ごろ届く住民税の決定通知書に、去年のどの所得でいくらになったかが書いてあります。満了金の分がどこに乗っているかは、この紙で確かめられます。
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)/0565-34-0707 平日10:00〜17:00、LINEは24時間受付です。
明細を見て、あれ、と思ったことのある人は、たぶん一人ではありません。
今の職場に、満了金か入社祝い金はありますか。ある方は、一括でしたか、分割でしたか。
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