10月から時給1,195円。でも手取りは55円ぶん増えません

10月1日から、愛知県の最低賃金が1,140円→1,195円。時給55円アップです。 ただ、55円×働いた時間が、そのまま手取りに乗るわけではありません。
10月1日から、愛知県の最低賃金が1,140円→1,195円。時給55円アップです。
ただ、55円×働いた時間が、そのまま手取りに乗るわけではありません。
8月5日に愛知地方最低賃金審議会が答申した金額で、発効予定日は10月1日。上げ幅55円は国の目安(Aランク54円)を1円上回りました。ここまではニュースの話。ここから先が、明細の話です。
55円は、手取りだといくらになるのか
月160時間働く人で計算します。
55円 × 160時間 = 8,800円(額面の増加)
1年で 8,800円 × 12か月 = 105,600円。
ここから引かれるものを順に。
健康保険と厚生年金は「標準報酬月額」という等級で決まります。毎月の額に1円単位で連動しません。ですから8,800円増えても、等級が変わらなければこの2つは増えません。すぐ増えるのは所得税です。
所得税率5%の人なら、復興特別所得税を入れて5.105%。
8,800円 × 5.105% ≒ 449円
手取りの増え方は 8,800円 − 449円 ≒ 約8,350円。
そして翌年です。住民税は所得のおよそ10%。
105,600円 × 10% ≒ 10,560円 → 月あたり約880円。
上がった年の翌年6月から、上がった分の1割を後払いする。ここまで含めて「55円」です。
発効の数え方も間違いやすいところです。基準は支払日ではなく労働日。10月1日以降に働いた分から1,195円です。9月に働いて10月に振り込まれる分は、旧額のままで正しい。
明細は3つの層でできている
(1) 支給
時給×所定時間、残業(1.25)、深夜22時〜5時(0.25加算)、法定休日(1.35)、通勤手当。
(2) 法定控除=法律で引くことが決まっているもの
健康保険、介護保険(40歳から)、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税。この6つだけです。
(3) 法定外控除=会社と労働者の代表が協定を結んで初めて引けるもの
作業服代、食堂・購買、財形、親睦会費など。賃金は全額払いが原則(労基法24条)で、この協定はその例外です。明細の見慣れない行は、たいていここにあります。何の行か聞くのは、まったく普通のことです。
時給1,400円で、1か月ぶん計算してみる
所定160時間 × 1,400円 = 224,000円
残業20時間 × 1,750円(1,400×1.25)= 35,000円
深夜60時間 × 350円(1,400×0.25)= 21,000円
額面合計 280,000円(通勤手当は別)
標準報酬月額28万円として、
- 厚生年金 9.15% → 280,000 × 9.15% = 25,620円
- 健康保険 本人負担はおよそ5%前後 → 約14,000円(40歳未満、率は毎年3月分から改定)
- 雇用保険 0.5〜0.6% → 約1,540円
- 所得税(扶養なし)→ 5,000〜6,000円ほど
控除合計は約46,000〜47,000円。手取りは約233,000円。
これは住民税がまだ来ていない1年目の姿です。2年目の6月からは、ここに住民税が月1万円台で乗ります。同じ働き方、同じ額面で、手取りだけが1万円以上下がる。
2か月目に落ちるのは、計算間違いではない
1か月目:雇用保険と所得税しか引かれず、手取りが高く見える
2か月目:健康保険+厚生年金(この例なら約4万円)が初めて入る
(保険料は資格を取得した月分から発生し、翌月の給与から控除する会社が多いため)
2年目6月:住民税が加わる
40歳の誕生日の月:介護保険がのる。標準報酬28万円なら月2,000円前後
更衣室で、入社3か月の子が2枚目の明細を広げて「1枚目と違う、間違ってる」と言い出す場面。だいたい毎月どこかで起きています。間違っていたのは明細ではなく、1枚目を基準にしてしまった記憶のほうです。
もうひとつ、今の時期に効くのが定時決定です。4月・5月・6月に支払われた給与の平均で、9月分からの等級が決まります。翌月控除の会社なら10月支給の給与から反映されます。春に残業が多かった人は、この秋、額面が変わっていないのに控除だけ増える。理由はここです。
月給・日給の人の、最低賃金の見方
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間(年間所定労働時間÷12)で時間額に直します。
年間所定255日×8時間=2,040時間、÷12=170時間。
1,195円 × 170時間 = 203,150円。これが月給制の目安ラインです。
このとき、精皆勤手当・通勤手当・家族手当・残業代・深夜割増は比較に入れません。だから「手当を足せば足りている」は成り立ちません。
明細を持って行ける場所
豊田労働基準監督署 0565-35-2323(平日8:30-17:15)。賃金の未払い、割増賃金。タイムカードの記録と明細を持っていくと早いです。
労働条件相談ほっとライン 0120-531-403。厚労省、無料。平日17:00-22:00、土日祝9:00-21:00。夜勤明けでも交替勤務でも、実際にかけられる時間帯はここくらいだと思います。
控除の並び順ごとの解説は、うちのサイトにも置いてあります → https://www.b-staff.jp/guide/haken-tedori
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)は、LINEなら24時間、明細1枚の見方から受け付けています。
同じところでつまずいた人が、これを読んでいます。ひとことでも書き込んでもらえると、あとから検索して来る人の役に立ちます。
あなたは今月、だいたい何時間働きましたか。160時間?180時間?その時間に55円を掛けると、10月からの増え方が出ます。
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