この記事の要点
- 派遣の雇い主は派遣会社です。紹介と直接応募の雇い主は、働くその会社です
- 派遣は同じ課で原則3年までです。3年の見込みで派遣会社に雇用安定措置の義務が生じます
- 人材紹介の手数料を払うのは会社です。求職者から取ることは原則禁止されています
- 有期契約が同じ使用者のもとで通算5年を超えたら、申し込めば無期契約にできます
求人に応募するとき、入口は三つあります。派遣会社に登録する。人材紹介会社に紹介してもらう。会社に自分で直接応募する。
三つは似て見えて、根っこが別物です。ちがいは一つです。誰があなたの雇い主になるか。ここが決まると、給料を誰が払うか、何年働けるか、困ったとき誰に言うかが決まります。
ちがうのは「誰に雇われるか」
派遣は、雇い主が派遣会社です。働く場所は別の会社の工場で、仕事の指示もその工場の人から受けます。でも給料も社会保険も有給休暇も派遣会社です。契約が終われば工場との関係は切れます。
人材紹介は、紹介会社があいだを取り持つだけです。話がまとまれば、あなたは働く会社に直接雇われます。紹介会社の役目はそこで終わり、手数料は会社が払います。
直接応募は、あいだに誰も入りません。会社に応募して、会社に雇われます。
三つを表で比べる
| 派遣 | 人材紹介 | 直接応募 | |
|---|---|---|---|
| 雇い主(給料を払う人) | 派遣会社 | 働く会社 | 働く会社 |
| 仕事の指示を出す人 | 働く先の会社 | 働く会社 | 働く会社 |
| 社会保険・雇用保険 | 派遣会社が加入させる | 働く会社が加入させる | 働く会社が加入させる |
| あなたが払う手数料 | なし | 原則なし | なし |
| 同じ職場で働ける期間 | 同じ課で原則3年まで | 期間制限なし | 期間制限なし |
| 決まるまでの手間 | 登録すれば紹介が来る | 紹介会社が調整する | 全部自分でやる |
表の「期間制限なし」は、いつまでも同じ条件という意味ではありません。有期契約なら、契約のたびに更新するかが決まります。更新回数や通算期間の上限が求人票に書いてあることもあります。
派遣で効いてくる3つのルール
同じ課で働けるのは原則3年まで
期間制限は二つあります。一つは事業所単位です。同じ派遣先の事業所で派遣を受け入れられるのは原則3年です。派遣先が過半数労働組合などから意見を聴けば、3年を限度に延長できます。
もう一つは個人単位です。事業所単位が延長されても、同じ事業所の同じ組織単位で3年を超えて働くことはできません。組織単位とは、いわゆる「課」などを想定しています。3年たったら、別の課へ移るか職場を離れます。
ただし派遣会社に無期雇用されている人、60歳以上の人などは、期間制限の対象外です。
3年の見込みになると、派遣会社に義務が出る
同じ課などに続けて3年派遣される見込みになると、派遣会社に雇用安定措置の義務が生じます。中身は次の四つのどれかです。
- 1派遣先に直接雇用を依頼する
- 2新しい派遣先を提供する(能力や経験に照らして合理的な条件のもの)
- 3派遣会社で、派遣労働者以外として無期雇用する
- 4その他、雇用の安定を図る措置(紹介予定派遣の対象にするなど)
1を行っても直接雇用に結びつかなかったときは、派遣会社は別に2から4のどれかを講じる必要があります。見込みが1年以上3年未満なら、義務ではなく努力義務です。派遣会社に無期雇用されている人、60歳以上の人などは、この措置の対象外です。
ここに落とし穴があります。この措置を受けるには、派遣が終わったあとも続けて働きたいという希望を派遣会社に伝える必要があります。黙っていると対象になりません。1から4のどれを希望するかも伝えられます。
待遇の決め方とマージン率は、調べられる
2020年4月から、派遣会社は二つの方式のどちらかで待遇を決めます。「派遣先均等・均衡方式」は派遣先の正社員と比べて不合理な差をなくす方法です。「労使協定方式」は同じ仕事の一般労働者の平均的な賃金額以上を払うと決める方法です。どちらの方式かは、雇入れ時と派遣時に説明する義務があります。
事業所ごとの派遣労働者の数やマージン率も、公開する義務があります(労働者派遣法23条5項)。マージン率は、派遣料金の平均額から賃金の平均額を引き、派遣料金の平均額で割った割合です。社会保険料や教育訓練費も含まれるので、低いほど良いとは限りません。
人材紹介はお金の流れを見る
有料職業紹介事業者は、求職者から手数料を取ってはいけません(職業安定法32条の3第2項)。求職者の利益のために必要と認められる一部の職種だけが例外で、工場の仕事は入りません。登録料を求められたら、払う前に労働局へ確認してください。
実績も見られます。厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に、次の公開義務があるからです。
- その年度に就職した人の数と、うち無期雇用で就職した人の数
- そのうち就職から6か月以内に、解雇以外の理由で辞めた人の数
- 手数料表の内容と、返戻金制度の有無
6か月以内に辞めた人の数は、紹介の質がわかる数字です。応募の前に調べる価値があります。
直接応募と、紹介予定派遣
直接応募はあいだに誰もいません。条件の確認も日程調整も断りの連絡も自分でやります。そのかわり伝言ゲームが起きません。求人票と労働条件通知書を突き合わせるだけで済みます。
紹介予定派遣はその中間です。まず派遣で働き、あとで直接雇用に切り替える前提の形で、ルールが通常の派遣とちがいます。
- 同じ人について、6か月を超えて行うことはできません。
- 通常の派遣では禁止されている事前面接や履歴書の送付が認められています。
- 派遣先が雇わなかった場合、本人が派遣会社に求めれば、派遣会社は派遣先に理由を確認し、書面で本人に明示します。
- 派遣先は、そこから雇い入れた人に試用期間を設けないこととされています。
ただし6か月働いても直接雇用にならない場合はあります。
有期契約なら、5年で無期にできる
どの入口でも、契約に期間の定めがあるなら無期転換ルールが関係します。同じ使用者との有期契約が通算5年を超えたとき、労働者が申し込めば無期契約に転換されます(労働契約法18条)。派遣なら使用者は派遣会社、直接雇用ならその会社です。
申込みは、いま結んでいる契約が満了する日までに行います。満了日の翌日から、期間の定めのない契約になります。労働条件は、別段の定めがなければ直前の有期契約と同じです。正社員になる話ではなく、契約が切れなくなる話です。
契約と契約のあいだに空白期間があると、前の期間が通算されない場合があります。直前の契約期間が1年以上なら、空白が6か月以上でリセットされます。
2024年4月からは、申し込める更新のときに会社が「申し込めること」と「転換後の労働条件」を明示する義務も負います。
5年働いて何も言われないなら、更新時にもらった書類を確認してください。明示は義務です。
よくある質問
派遣と人材紹介、給料が高いのはどっちですか?
一概には決まりません。同じ職場なら、派遣のほうが時給の表示は高く出ることがあります。ただし賞与や退職金、昇給の仕組みは直接雇用のほうが整っていることが多いです。年単位では逆転する場合もあります。
派遣会社に登録料を払うよう言われました。おかしいですか?
有料職業紹介では、求職者からの手数料徴収は原則禁止です。健康診断料や講習料という名目でも同じです。払う前に、下の愛知労働局 需給調整事業部の第二課へ電話してください。
派遣で3年たったら、その会社の社員になれますか?
なれるとは限りません。3年の見込みになった時点で、派遣会社に雇用安定措置の義務が生じます。その一つが派遣先への直接雇用の依頼です。ただし派遣先が同意しなければ実現しません。
相談できるところ
会社や派遣会社に聞きにくいことは、次の窓口で無料で相談できます。匿名でも受けてもらえます。
ハローワーク豊田(豊田公共職業安定所)〒471-8609 豊田市常盤町3-25-7 / 電話 0565-31-1400
ハローワーク求人ホットライン 電話 03-6858-8609ハローワークの求人内容が実際とちがった場合の申出先です。
愛知労働局 需給調整事業部第一課(許可申請・事業報告など)052-219-5587第二課(業務運営・指導監督など)052-685-2555派遣と職業紹介のルールの相談先です。
豊田総合労働相談コーナー(豊田労働基準監督署内)〒471-0867 豊田市常盤町3-25-2 / 電話 0565-30-7108(平日9時30分から17時)
労働条件相談ほっとライン 電話 0120-811-610平日17時から22時、土日祝9時から21時(12月29日から1月3日は休み)。英語0120-531-401、ポルトガル語0120-531-403など14言語の番号もあります。
愛知県 西三河県民事務所 労働相談(豊田庁舎)〒471-8503 豊田市元城町4-45 県豊田加茂総合庁舎2階 / 電話 0565-32-6119(平日9時から17時)
この記事は2026-08-20時点の法令にもとづいています。制度は変わります。 個別の事情については、記事内に挙げた公的な相談窓口にお問い合わせください。
