この記事の要点
- 志望動機は作文ではなく、求人票と自分の事実の突き合わせ
- 「片道20分だから夜勤明けでも通える」は立派な志望動機になる
- 事実を先に、希望をあとに書く。順番を逆にすると願望に見える
- 応募書類に本籍や家族の職業を書く必要はない
志望動機が書けないのは、あなたに熱意がないからではありません。書き始める場所が、事実ではなく気持ちになっているからです。気持ちから始めると、たいてい途中で止まります。
採用する側が志望動機で見ているのは、熱意の量ではありません。「この人とこの職場は、かみ合うか」です。かみ合うかどうかは、事実を並べれば説明できます。
この記事では、求人票と自分の事実から志望動機を作る手順を書きます。特別な経歴は要りません。通勤時間と工程の話で十分に通ります。制度の内容は2026年8月現在のものです。
志望動機は「熱意」ではなく「かみ合っているか」
面接官が志望動機で確かめたいのは、次の2つです。うちの条件を分かって応募しているか。その条件で、長く働けるか。
「御社の技術力に魅力を感じ」と書いても、この2つは埋まりません。一方で「片道20分なので、夜勤明けでも通えます」は、両方を埋めます。地味に見えて、こちらのほうが強い志望動機です。
熱意を演出する必要はありません。演出した熱意は、面接で1つ質問されると崩れます。事実は崩れません。
志望動機は、作文ではなく「条件の突き合わせ」です。
材料は求人票の中にある
志望動機の材料は、頭の中ではなく求人票にあります。求人を出す側は、職業安定法5条の3により、募集の段階で労働条件を明示しなければなりません。明示すべき事項は、職業安定法施行規則4条の2に並んでいます。
- 従事すべき業務の内容(業務の内容の変更の範囲を含む)
- 労働契約の期間
- 試みの使用期間(試用期間)
- 有期契約を更新する場合の基準(通算契約期間や更新回数の上限があるならその上限を含む)
- 就業の場所(就業の場所の変更の範囲を含む)
- 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日
- 賃金の額
- 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用
- 雇用しようとする者の氏名または名称
- 派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨
- 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置
「業務の内容の変更の範囲」と「就業の場所の変更の範囲」、それに有期契約の更新上限は、2024年4月から加わった項目です。以前の求人票にはなかった欄です。
まず、求人票のうち次の欄に印をつけてください。
- 仕事の内容(工程名、扱う製品、使う設備)
- 就業の場所と、その変更の範囲
- 就業時間(交替のサイクル、シフトの時間帯)
- 賃金の額と、その内訳
- 休日と、年間休日数
- 雇用形態、契約期間、更新上限の有無
印をつけた欄のうち、自分の事実と重なるものが志望動機になります。重なりが1つも見つからないなら、その求人は見送っても構いません。志望動機が書けないのは、能力の問題ではなく相性の問題であることがあります。
事実を志望動機に変える表
自分の事実は、そのままでは志望動機になりません。求人票の欄と結びつけると、志望動機になります。
| 自分の事実 | 志望動機に変えた文 |
|---|---|
| 家から片道20分 | 交替勤務でも通いやすい距離です。夜勤明けの帰宅にも無理がありません |
| 前職で検査工程を3年 | 検査の経験があり、記録を残す作業に慣れています |
| 2交替を2年経験 | 交替勤務の生活リズムを作れます。夜勤のある職場を希望しています |
| 有期契約が続いた | 更新上限のない求人を探しています。同じ工程で技能を積みたいです |
| フォークリフト技能講習修了 | 資格を実務で使える職場を探しています |
| 前職は飲食で立ち仕事 | 1日8時間の立ち仕事に慣れています |
書く順番は、事実が先、希望があとです。順番を逆にすると、根拠のない願望に見えます。
3つの文で組み立てる
長い文章は要りません。3文で足ります。
- 1なぜこの仕事か(自分の事実と、求人票の仕事内容の重なり)
- 2なぜこの条件で続けられるか(通勤、勤務時間、家庭の事情)
- 3入ってから何をしたいか(覚えたい工程、取りたい資格)
例を挙げます。
「前職で自動車部品の外観検査を3年担当しました。求人票の検査工程と近い内容だと思い応募しました。自宅から片道20分で、2交替の時間帯でも通えます。入社後はフォークリフトの資格を取り、部品の運搬もできるようになりたいです」
この文に、熱意という言葉は1つも入っていません。それでも、面接官が知りたいことは全部入っています。
3文が書けたら、声に出して読んでください。読んで詰まるところは、事実になっていない部分です。そこを数字か固有名詞に置き換えると通ります。
未経験のときの組み立て方
経験がないときは、1番目の文を「移せる経験」に替えます。製造業の現場で評価されるのは、次の3つです。
- 決められた手順を守れること
- 数を数え、記録を残せること
- 決まった時間に来られること
前職が何であっても、この3つは説明できます。「毎日の在庫を数えて日報に記録していました」「開店準備の手順書を守り、3年間遅刻はありませんでした」
そのうえで、なぜ製造業なのかを一言足します。「体を動かす仕事のほうが続くと分かったからです」で十分です。壮大な理由は要りません。
未経験であることを、わざわざ謝る必要もありません。求人票に「未経験可」と書いてあるなら、それは織り込み済みです。
書かないほうがいいこと
給料だけを理由にするのは、避けたほうが無難です。賃金が大事なのは当然ですが、それだけだと「もっと高い所へ移る」と読まれます。「賃金と通勤時間の両方が合った」と書けば、印象が変わります。
前の職場の批判を長く書くのもすすめません。辞めた事実は一言で足ります。そのあとに「次はこうしたい」を置いてください。
応募書類に、本籍や家族の職業を書く必要はありません。厚生労働省は、本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用を、就職差別につながるおそれのある事項として挙げています。求められていない個人情報は、書かないで構いません。
よくある質問
志望動機に嘘を書くと、どうなりますか。
入社後に苦しくなります。「夜勤も問題ありません」と書いて実際は無理だと、早い時期に辞めることになります。志望動機は、自分への約束でもあります。書けることだけ書いてください。書けない条件があるなら、その求人はあなたに合っていません。
応募先が多いとき、志望動機を使い回してよいですか。
骨組みは使い回せます。ただし、工程名と就業場所の部分は毎回書き直してください。求人票の言葉をそのまま使うと、読んでいることが伝わります。3文のうち2文を直せば十分です。全部を書き直す必要はありません。
手書きとパソコン、どちらがよいですか。
求人票や募集要項に指定があれば、それに従ってください。指定がなければ、どちらでも構いません。読みやすさのほうが大事です。手書きなら、書き損じは修正液を使わず、新しい用紙に書き直してください。
相談できるところ
志望動機を人に読んでもらうと、直す場所がすぐ分かります。無料で相談できる公的な窓口があります。
- ハローワーク豊田(豊田公共職業安定所)
豊田市常盤町3-25-7/0565-31-1400/平日8時30分〜17時15分管轄は豊田市とみよし市です。求人票の見方から相談できます。
- 豊田市就労支援室
豊田市若宮町1-57-1 T-FACE A館9階/0565-31-1330月曜・水曜〜日曜の10時〜18時(火曜休み)。求人検索と個別のカウンセリングができます。
- ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/自宅から求人票を検索できます。仕事内容や変更の範囲の欄まで読めます。
- ヤング・ジョブ・あいち
名古屋市中区錦2-14-25 ヤマイチビル9階/052-232-2351/平日8時30分〜17時15分職業適性診断、職業相談、職業紹介、キャリアコンサルティングを受けられます。
- キャリアサポートセンターあいち(あいち労働総合支援フロア内)
名古屋市中村区名駅4-4-38 ウインクあいち17階/052-485-7155平日9時30分〜18時、土曜10時〜17時。職業適性検査は052-485-7157です。
書類の内容が労働条件と食い違うなど、契約に関わる不安があるときは、豊田総合労働相談コーナー(豊田労働基準監督署内/0565-30-7108/9時30分〜17時)に相談できます。税金や社会保険の個別の判断は、税務署や年金事務所が窓口です。
この記事は2026-08-20時点の法令にもとづいています。制度は変わります。 個別の事情については、記事内に挙げた公的な相談窓口にお問い合わせください。
