この記事の要点
- 夜勤中の仮眠は0〜4時に始める20〜50分が目安。60分は長すぎて逆効果という報告があります
- 深夜業に常時従事する人は、6か月以内ごとに1回、年2回の健康診断を受けられます
- 深夜割増は25%以上、時間外と重なると50%以上。給与明細で確認できます
- カフェインは1日400mgまで。夕方以降の100mgは、その夜の睡眠に影響します
2交替で働いていると、体が重い日があります。休んだはずなのに、疲れが残っています。
これは気持ちの問題ではありません。交替勤務は体内時計に逆らう働き方です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、そう書いています。
この記事は精神論を書きません。国のガイドが数字で示していることと、法律で決まっていることだけを並べます。2026年8月現在の内容です。
2交替とは、どういう働き方か
交替制勤務とは、始業と終業の時刻の組み合わせが固定されず、日ごとや一定期間ごとに変わる勤務形態です。夜から朝までの一つのパターンしかない場合は含まれません。
2交替は、その勤務時間帯が昼と夜の2つある形です。1週間ごとや数日ごとに入れ替わります。周期は職場によって違います。
睡眠ガイド2023によると、日本の労働者のうち交替制勤務者は10〜20%弱です。特に製造業で高いとされています。
法律で「深夜業」と呼ばれるのは、午後10時から午前5時までの労働です(労働基準法37条4項)。この時間帯に働くと、割増賃金と健康診断のルールが関わってきます。
つらいのは、根性の問題ではありません
睡眠ガイド2023は、交替制勤務をこう整理しています。体内時計の機能に逆らって生活せざるを得ないため、身体に負担のかかる業務形態である、と。
具体的な数字も挙がっています。交替勤務に従事していない人と比べ、従事者ではメタボリックシンドロームの発症リスクが1.06倍という報告です。心血管系疾患の発症リスクは1.15倍と報告されています。
これは「必ずそうなる」という話ではありません。集団で見たときの差です。ただ、負担が実在することの裏づけにはなります。
眠れないのは、あなたの意志が弱いからではありません。勤務形態そのものが厳しい条件です。
国のガイドが勧めていること
仮眠は20分から50分
夜勤中の仮眠は、仕事の効率を改善することが分かっています。睡眠ガイド2023は、0時から4時に開始する20〜50分間の仮眠を挙げています。眠気、仕事の効率、疲労が改善したという報告です。
一方で、仮眠を60分と長めにとった研究では、かえって効率が下がったと報告されています。眠りが深くなり、起きたあとに強いぼんやり感(睡眠慣性)が出るためと考えられています。
対策も示されています。コーヒーなどでカフェインを摂ってから仮眠を始めると、仮眠後に起きやすくなるという報告です。
夜勤前の仮眠も、夜勤中の眠気を抑えるのに有効という報告があります。
睡眠ガイド2023は、職場の環境にも触れています。夜勤中に適切に仮眠がとれるよう、休養時間の確保と休養場所の整備を検討することが望まれる、としています。
光は、頻度によって使い方が変わります
朝に光を浴びると体内時計は前に進み、夕方以降に浴びると後ろにずれます。ただし1日に修正できるのは数分から数時間程度です。勤務に合わせて完全に動かすことは困難です。
週に1〜2回の夜勤が入る勤務なら、次の方法があります。夜勤明けも日勤日と同じように朝から午前中に日光を浴びます。夜勤明けにすぐ寝ず、夕方以降から普段よりやや長めに眠り、翌朝は日勤と同じ時刻に起きます。可能なら、夜勤中は職場で強い照明を避けます。
夜勤の回数がもっと多い勤務体系では、この方法は睡眠不足を深刻にする可能性があります。自分のシフトの頻度で判断してください。
食事とカフェインには、目安の数字があります
- 朝食をしっかり摂ると体内時計が整います。朝食を抜くと体内時計が後ろにずれ、寝つきが悪くなります
- 就寝前の夜食や間食も、体内時計を後ろにずらします。翌朝の睡眠休養感が下がるという報告があります
- カフェインは1日400mgまでが目安です。ドリップコーヒーで4杯(700cc)ほどに当たります
- 日本人のカフェインの血中半減期は3〜7時間です。夕方以降に100mg以上摂ると、その夜の睡眠に影響します
- 塩分を摂りすぎると夜間の排尿が増えます。減塩で夜中に目覚める回数が減ることが期待できます
睡眠時間の目安も示されています。個人差はありますが、成人は6時間以上を目安に確保することが勧められています。
給与明細で、割増賃金を確かめます
深夜に働いた分は、割増賃金が付きます。率は法律と政令で決まっています。
| 働いた内容 | 割増率の下限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 時間外労働 | 25%以上 | 労働基準法37条1項と政令 |
| 月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 | 労働基準法37条1項ただし書 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 | 労働基準法37条4項 |
| 休日労働 | 35%以上 | 労働基準法37条1項と政令 |
重なったときは足し算です。時間外が深夜に及べば25%+25%で50%以上になります。休日労働が深夜に及べば35%+25%で60%以上です。月60時間を超える時間外が深夜に及べば50%+25%で75%以上です。
残業時間そのものにも上限があります。36協定の限度時間は月45時間、年360時間です。1年単位の変形労働時間制で対象期間が3か月を超える場合は、月42時間、年320時間になります。
特別条項を結んでも、上限があります。年720時間以内、1か月100時間未満、2〜6か月のどの平均でも80時間以内です(労働基準法36条)。100時間と80時間の方は、休日労働の時間も足して数えます。
深夜業の人は、健康診断が年2回あります
深夜業を含む業務に常時従事する労働者には、通常より多い回数の健康診断が定められています。配置替えのときと、6か月以内ごとに1回です(労働安全衛生規則45条、13条1項3号ヌ)。
つまり、年2回受けられます。1回しか案内が来ていない場合は、会社に確認してください。
自分で受けた健診を使う制度もあります。健診を受けた日の前6か月間を平均して、1か月あたり4回以上深夜業に従事していた人が対象です。自分で受けた医師の健康診断の結果を、会社に提出できます(労働安全衛生規則50条の2、50条の3)。提出できるのは受診日から3か月以内です。
有給の日数は、法律で決まっています
雇入れから6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤した人には、有給休暇が10日与えられます。その後は勤続年数に応じて増えます(労働基準法39条)。
| 継続勤務年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
週の所定労働日数が少ない人は、日数が比例して減ります。それでも、条件を満たせば有給は与えられます。
年10日以上の有給が与えられる人については、会社に義務があります。基準日から1年以内に、5日分は時季を定めて取得させなければなりません(同条7項)。取れていない場合、会社の側の違反になります。
自分から請求して取った日数は、この5日から差し引かれます(同条8項)。取りたい日があるなら、先に希望を出す方が通りやすくなります。
労使協定があれば、年5日以内の範囲で時間単位の取得もできます(同条4項)。通院や学校行事に使えます。
有給休暇の請求権の時効は2年です(労働基準法115条)。付与された日から2年たつと、残っていても消えます。
家族との時間は、勤務表を共有するところから
交替勤務でいちばん削られるのは、家族と同じ時間に起きている時間です。ここは情報の共有が効きます。
- 勤務表を家の見えるところに貼るか、共有カレンダーに入れる
- 「一緒に食事をする日」を月に何回と決め、先に予定として入れる
- 夜勤明けに静かにしてほしい時間を、具体的な時刻で家族に伝える
- 有給を取りたい日は、早めに希望を出す
寝つけないときは、一度寝床を離れることが勧められています。静かで暗めの場所で過ごし、眠気が来てから戻ります。無理に眠ろうとすると、かえって脳が興奮します。
よくある質問
夜勤明けは、すぐ寝た方がいいですか?
シフトの頻度によります。夜勤が週1〜2回なら、睡眠ガイド2023に一つの方法が挙げられています。すぐ寝ずに朝から午前中に日光を浴び、夕方以降から普段よりやや長めに眠る方法です。翌朝は日勤と同じ時刻に起きます。夜勤の回数が多い勤務体系では、睡眠不足が深刻になる可能性があります。自分のシフト表を見て決めてください。
眠気覚ましのエナジードリンクは、何本まで大丈夫ですか?
本数ではなく、カフェインの合計量で考えます。目安は1日400mgまでです。製品ごとの含有量は容器の表示で確認できます。摂る時刻も関係します。夕方以降に100mgを超えると、その夜の睡眠に影響する可能性があります。日ごろから摂る量が増えるほど、寝つきの悪化や中途覚醒が起きやすくなるとされています。
交替勤務がつらいことを、誰に言えばいいですか?
まず職場の産業医か衛生管理者です。従業員50人未満の事業場には産業医がいないことがあります。その場合は地域産業保健センターを無料で使えます。豊田市とみよし市は豊田加茂地域産業保健センターが担当です。会社に言いにくいときは、こころの耳の電話相談があります。
相談できるところ
- 豊田加茂地域産業保健センター(豊田加茂医師会館内) 豊田市西山町3-30-1 電話 0565-33-2655 労働者50人未満の事業場で働く人と事業者が対象です。健康相談や、健診結果についての医師の意見聴取に無料で対応しています。
- 愛知産業保健総合支援センター 〒461-0005 名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル2階 電話 052-950-5375 8時30分〜17時15分(土日祝、年末年始を除く)
- こころの耳 電話相談(厚生労働省) 0120-565-455 平日17時〜22時、土日10時〜16時(祝日、年末年始を除く)。働く人とその家族が対象です。
- 豊田労働基準監督署 安全衛生課 電話 0565-30-7111 健康診断が実施されていない場合など。
- 豊田総合労働相談コーナー(豊田労働基準監督署内) 豊田市常盤町3-25-2 電話 0565-30-7108 平日9時30分〜17時
眠れない状態や日中の眠気が続き、生活に支障が出ている場合は、医療機関の受診が勧められています。持病の治療中の人は、生活の変更を主治医に相談してください。この記事は制度と公的なガイドの紹介です。
この記事は2026-08-20時点の法令にもとづいています。制度は変わります。 個別の事情については、記事内に挙げた公的な相談窓口にお問い合わせください。
