残業ゼロの遅番でも、深夜割増はついている

残業ゼロの遅番でも、深夜割増はついている。時給1,400円なら、1回1,050円。
残業ゼロの遅番でも、深夜割増はついている。時給1,400円なら、1回1,050円。
遅番が月10日なら、それだけで年126,000円。この額、自分の明細で見た記憶がありますか。
深夜割増は、残業したときだけのものではない。22時から翌5時までに働いた時間には、1時間あたりの賃金の25%以上が上乗せされる。労働基準法第37条。就業規則に何も書いていなくても発生する。
2交替の遅番は、この時間帯にまるごと入る勤務だ。
数字を入れる。時給1,400円、遅番が16時から翌1時、休憩1時間で実働8時間。深夜にあたるのは22時から1時までの3時間。
1,400 × 0.25 × 3時間 = 1,050円。これが遅番1回あたり。
遅番に月10日入れば10,500円。1年で126,000円。
残業とは無関係に、ここまでが法律上の最低ライン。
2交替が常昼より稼げるのは、根性でも我慢料でもない
割増は、重なる。
時間外 25%
深夜 25%
法定休日 35%
月60時間を超えた時間外 50%
夜勤の残業が22時をまたげば、時間外25%と深夜25%で50%。時給1,400円なら、その1時間は2,100円になる。60時間を超えていれば50%と25%で75%。法定休日が深夜にかかれば35%と25%で60%。
2交替の手取りが常昼より多いのは、この積み上げがあるからだ。だからこそ、積み上がっているはずのものが積み上がっているかは、一度見ておく値打ちがある。
「夜勤手当が出ているから大丈夫」は、まだ答えになっていない
明細の中身は2つに分かれる。法律が「払え」と決めているのは割増賃金だけ。夜勤手当、交替手当、シフト手当は、法律のどこにも出てこない。会社が決めた金額で、名前も自由。出さない会社もある。
その2つが、明細の上では1行にまとまっていることが多い。だから話がややこしくなる。
「うちは夜勤手当が1回1,500円出ているから、その中に入っている」
これは成立する場合がある。条件は2つ。
1つ、その手当のどこからどこまでが割増賃金なのかが分かれていること。
2つ、その金額が、法律で計算した割増賃金の額以上であること。
さっきの例なら、法律の計算は1回1,050円。夜勤手当1,500円のうち割増分が区別されていて、それが1,050円以上なら足りている。区別が無い、あるいは下回っている。そのときは差額を求めることができる。
いくら出ていれば足りるのかは、自分の時給と自分の深夜時間数でしか出せない。
3分でやる手順
- 1時間あたりの賃金を出す。時給制ならその時給がそのまま。月給制なら、月給を「1年間の1か月平均所定労働時間数」で割る。日給制なら日給を1日の所定労働時間で割る。
- その月、22時から翌5時までに何時間入ったかを数える。休憩は引く。遅番1回3時間なら、10回で30時間。
- かけて、0.25倍する。1,400円 × 30時間 × 0.25 = 10,500円。
出た数字を、明細の「深夜」の行、もしくは夜勤手当の割増部分と比べる。それだけ。足りていた人はそこで終わり。確認できたという事実が残る。
1か月分を、通しで出すと
時給1,400円。遅番が月10日(1日あたり深夜3時間)、残業が月20時間、そのうち5時間が22時をまたいでいたとする。深夜にあたる時間は、定時の30時間+残業の5時間で35時間。
深夜割増 1,400 × 0.25 × 35時間 = 12,250円
時間外割増 1,400 × 0.25 × 20時間 = 7,000円
割増だけで19,250円。時給そのものの部分とは別に、この額が上に乗っているのが本来の姿だ。22時をまたいだ残業の5時間は、時間外25%と深夜25%の両方がつく。片方しか乗っていない明細は、ここでズレる。
金額より先に、時間数を見る
明細には「時間外○時間」「深夜○時間」と、時間数が別々に載っているはずだ。まずここが、自分の記憶しているシフトと合っているか。ズレていたら、金額を計算する前に時間数のほうを疑う。
早番だけの月に深夜0時間なら、それは正しい。6時から15時の勤務は、22時以降に1分も入っていない。深夜の行が立つのは遅番に入った分だけ。「先月は0だった」がすぐ間違いという意味ではない。遅番が何日あったかと突き合わせる。
遅番の日に有給を使うと、割増は消える
有給休暇を取った日に、深夜割増はつかない。実際にその時間帯に働いたときに発生するものだからだ。遅番の日に有給を使えば、その1回分の1,050円は無くなる。
悪いことではなく、そういう仕組みだという話。ここを知らずに「有給を取ったら手取りが減った」と驚く人が毎年いる。
夜勤手当をもらっている人は、残業単価も上がるはず
割増賃金は「1時間あたりの賃金」に率をかけて計算する。この基礎の金額から外していいのは、7つだけと決まっている。
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時の賃金、1か月を超える期間ごとの賃金。この7つ以外は外せない。
夜勤手当も交替手当も、この7つに入っていない。つまり、夜勤手当をもらっている人の残業単価は、基本給だけで計算した単価より高くなるはずだ。明細の残業単価が、時給そのままの1.25倍で止まっていないか。
底の金額も動く
愛知県の最低賃金は1,140円(2025年10月18日から)。2026年10月1日からは1,195円になる予定。
深夜割増も残業代も、この時給を基礎に計算される。底が上がれば、割増の額も動く。10月以降の明細で時給がその通りに上がっているかは、見ておく値打ちがある。
差がありそうだ、と思ったときの言い方
先に書いておくと、明細が間違っているとは限らない。基礎額の計算に理由がついていたり、手当が月単位で計算されていたり、説明がつくことのほうが多い。
だから最初の一言は、これでいい。
「夜勤手当には深夜割増が含まれていますか。含まれているなら、その内訳を教えてください」
疑いではなく質問。答えは就業規則か賃金規程に書いてある。派遣で働いているなら、聞く相手は派遣元。就業先の工場ではない。
説明が返ってこない、あるいは毎回変わる。そのときは豊田労働基準監督署(豊田市常盤町3-25-2)が管轄で、タイムカードの記録と明細を持っていけば見てもらえる。夜間や土日なら労働条件相談ほっとライン 0120-811-610。
計算の全部
基礎から外せる7つの手当の根拠、月給制の人の時間単価の出し方、休日と深夜が重なったときの計算。法令の条文まで当たって1本にまとめてある。
b-staff.jp/guide/kotai-teate →
一度自分の数字で通しておけば、来月からは30秒で済む。
有限会社ブリッジスタッフサービス(豊田市・1978年創業)。明細の読み方が分からないときは、ポルトガル語と中国語でも社内で話せます。
あなたの遅番、何時から何時までですか。時間をコメントに書いてくれれば、深夜が何時間になるか、こちらで数えます。
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